黒田成彦のつぶやき

長崎県平戸市長の黒田成彦です。 日本本土最西端で地域おこしや産業振興に汗を流しています。 平戸市は古来より大陸との交易の窓口として栄えた貴重な歴史があり、また豊かな自然はたくさんの旅人を魅了し、そこから生産される新鮮な農林水産物は市場から高い評価を得ています。このブログを通じて、日頃思っていることや平戸市のことをドンドン発信していきますので、よろしくお願いします。

最近またもや百田尚樹氏に対するメディアの批判が強くなっている。でも私は百田氏のツイートをフォローしているので、メディア批判が根拠のないものであることを理解している。なぜ百田氏がこのような批判の対象になりやすいかというと、ご自身の表現がストーレート過ぎるし、その使命感から物事の是非を明確にする性格にあるのだろう。メディアの中でも特に朝日新聞は彼の言動によって、存立の根拠を崩されそうだから他のメディアと組んで「集団的自衛権」を発動しているのかもしれない(笑)。

でも百田氏の感性や表現のきめ細やかさ、心根の優しさは、この短編集『輝く夜』を読んでいただければ理解してもらえるし、メディアが掲げる先入観を一気に吹き飛ばしてくれる。『魔法の万年筆』をはじめ5編からなるこのストーリーはクリスマス前後の夜に繰り広げられる女性が主人公の物語だ。不幸の連続の中に垣間見える幸せの温もりが読む側に感動を与えてくれ涙を禁じ得ない結末を迎える。こんな繊細な心配りができる人が、あえてメディアに論争を挑むのはなぜだろうと違和感を感じるほどだ。

「真面目に生きている人こそが正当な評価を受けなければならない」そんな道徳感は当たり前のことではあるが、どうやら最近は弱者権力が目立ちすぎて、「言った者勝ち」「言わなきゃ損」という敵対社会に誰かが差し向けているような気がする。そもそも政治とはサイレントマジョリティに気持ちを寄せながら、将来を見据えて舵取りを行う使命があるはずで、目先の感情論や問題の先送りがあってはならないと思う。でもなんとなく「真面目で無口は損をするかもしれない」という価値観がはびこる現代社会において、手を差し伸べてくれるサンタクロースへの期待がこの小説の根底にある。とにかく真面目に生きていても報われにくい人たちにはとても勇気づけられる作品なのだ。

テレビ各局も不倫とか殺人とか反社会的な題材ばかりでドラマを創り、国民にいかがわしい好奇心を煽って視聴率を稼ぐのではなくて、こうした感動ものをどんどん発信することが社会の公器としての役割があるのではないか。そして涙にはいろいろあるが、美しさや優しさに対して流す涙は素晴らしいと思う。最近は「涙活」というストレス発散活動があるそうだが、ぜひともその題材にこの小説をお読みになることをお勧めしたい。

長崎新聞の取材記者によるコラム『記者の目』で、7月24日付けの雲仙支局・永野孝支局長の『〝うれしい悲鳴”も喜べず』の内容には深く考えさせられ重い気持ちになった。雲仙市小浜町ではグルメによる地域おこしが進められ「小浜ちゃんぽん」はNHKのドラマになるほど人気が高まり注目されていたが、その小浜ちゃんぽんを食べることができるお店の一つ「蛇の目」が閉店するという内容だ。その閉店の理由に私は愕然とした。なんと「繁盛しすぎて忙しいから」というのだ。

記事によれば「人気の高まりに対応が追いつかず、ギブアップすることになった。80歳近いご主人は『息子にこんなきつい仕事を継がせるわけにはいかない』と考え、自分の代で閉めることを決めたという。」と取材内容が記されてあったが、雲仙市同様、平戸市も交流人口増大のために様々な取り組みに果敢にチャレンジし、観光客数も177万人へと飛躍的な実績をおさめているだけに、「忙しくなること」「商売繁盛のチャンスをつくること」が裏目に出るなんて想像もしなかった。

「蛇の目」のご主人におかれては80歳になるまで暖簾を守り地域に貢献してこられたご功績は高く評価されるべきと思う。しかし閉店という判断しかなかったのだろうか。せっかく「週末は数時間待ちにもなった」という人気店として注目を集めていたのであれば、従業員を増やし店舗拡張などの経営支援をすべき地元商工会などは何も相談を受けなかったのだろうか。また息子さんは本当に継ぐつもりなどなかったのだろうか。

そうは言っても平戸市にも同様な事例がないとは言い切れない。自分が味わった苦労を子供にさせたくないという気持ちが、第一次産業の担い手の減少につながり耕作放棄地の拡大につながっている。私の故郷生月町でも巻き網漁業の船員は減少傾向だ。いや第一次産業ばかりではない。商店街がシャッター通りになりつつあるのもその具体事例だし、理由は真逆かもしれないが「蛇の目」のご主人の判断に共通するものがある。

いずれにしても、これまで行政は「賑わいをもたらすこと」それによって「地域を活性化すること」に努力を重ねてきた。「あとは民間レベルの仕事でしょ」と放ってはおられないことも今後は覚悟しなければならないということだ。具体的な事業者の悩みや相談を受けて、誰もが喜び支えあることのできるまちづくりをつくるためには地元中小企業者の声に真摯に耳を傾けなければならないと強く感じた次第だ。

7月15日から三泊四日で栃木、山形、東京へ公務出張していた先で激しい腰痛に襲われ、急きょ都内の整骨院で施術を受けるという事態になってしまった。現在ギブスのようなコルセットを腰に巻き、不格好な状態で安静を強いられながら、でもこの後、武雄市と大阪市への公務出張が予定されている。早朝より地元の整骨院で診療してもらったら、その結果として最近の私の健康状況まで言い当てられて驚きとともに、見抜いた先生に敬意を表したい。

その診断によれば、首から背中にかけての脊椎に無理な負荷とストレスがかかり、そのプレッシャーを腰、もしくは頸椎が受け止めてきたと見られる。「市長、首が痛くなった時期があったでしょう?」「時には頭痛も感じたのでは?」という問いかけに思い当たる節がいくつもあり、「あぁそういえばそうでした。でも気にせず放っといてきました。スイマセン」と答えざるを得なかった。

幸い椎間板ヘルニアにまで損傷は及んでなく、まずは現在の固定式コルセットで数日間、腰への負担を抑制し、その後はさらに2週間程度の施術を含めて回復を図ることになったが、今までの無理も蓄積されてきたのかなと反省している。例えば、移動中の車の中でも携帯パソコンを起動させて文章作成をしたりする時に足を組んだりして作業したことなども原因の一つだろう。

そうは言っても7月19日の武雄市のマニフェストシンポジウムと20日の関西大阪県人会ならびに大阪朝日放送ABCによる収録、その夜の田平町での地元説明会は重要な業務なので、これだけは約束通り遂行しなければならない。その後は少しアクセルを緩めて腰の治療に専念したいと思う。

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